プラセンタとは
プラセンタ(Placenta)とは哺乳動物の「胎盤」のことですが、医療や医薬品の世界では、この英語の呼び名の方が広く使われています。
胎盤は、母親の子宮の中に着床した受精卵が胎児として大きく育っていくとき、母体と赤ちゃんとをつなぐ「臨時の臓器」としてつくられ、出産が終わるまで働き続けます。
この胎盤に、胎児は「へその緒」で結ばれ、成育するのに必要な全ての栄養や酸素を受け取り、反対に排泄部を母親の体に渡しながら、どんどん成長していきます。
胎盤の働きはこれだけでなく、ホルモンや生理活性物質、各種の成長因子など全てを胎児に供給し、さらに毒物や異物の侵入から胎児を守る免疫機能も果たすのです。
薬やサプリメントとして活躍
目にも見えない小さな受精卵を、わずか10ヵ月で平均3kgもの赤ちゃんにまで育て上げる胎盤の働きに着目し、その成分を活用するために開発されたのが、医薬品やサプリメントなどのプラセンタ製品です。
わが国で注射薬とサプリメントが相次いで完成したのは戦後間もない頃でしたが、やがて訪れた新薬ラッシュに押されてなかなか表舞台に立てませんでした。しかし状況が変わり新たに統合医療が台頭す
るとともに、有効範囲の広いプラセンタが一気に注目されるようになったのです。
そして現在 ー 誰もが若々しくありたいと願い、体にやさしい全身的な医療が求められる中で、プラセンタの優れた特性がいよいよ評価を高めつづけています。
自然治癒力を高める
プラセンタが医療現場で幅広く用いられる最大の理由は、「自然治癒力」の強化にあります。
人体は軽い傷を負ったり、風邪を引いたり、疲労困憊して精神的に落ち込んでも、時間が経つと回復します。このとき私たちの体内で働いている力が「自然治癒力」です。
ところがこの力が衰えてくると回復が遅れ、病気や体調不良の状態が長引き、ついに大事に至ることにもなりかねません。
プラセンタはその「自然治癒力」を強力に後押しし、自分の力で病気や身体の不調を慢性化させないように働いてくれる「自然薬」として注目を集めているのです。
プラセンタの薬理作用
あまりにも広範なプラセンタの働きですが、その薬理作用は
- 自律神経調整作用(自律神経のバランスを整える)
- 強肝・解毒作用(肝臓の働きを高める)
- 基礎代謝向上作用(基礎代謝・新陳代謝を高めて細胞や組織を活性化させる)
- 免疫賦活作用(免疫力を強化して抵抗力を高める)
- 抗炎症作用(炎症を抑え、壊れた組織を修復する)
- 内分泌調整作用(内分泌系のバランスを整える)
- 活性酸素除去作用(細胞を壊す活性酸素を除去して酸化を防ぐ)
- 血行促進・造血作用(造血組織を刺激して血流を良くする)
などが考えられています。
プラセンタのよく効く病気一覧
内科 |
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整形外科 |
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婦人科 |
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皮膚科 |
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心療内科 |
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耳鼻咽喉科 |
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歯科口腔科 |
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その他 |
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(日本胎盤臨床医学会大会における「臨床発表」による)
なぜ効果があるのでしょうか?
これまで長年にわたって患者さんと臨床医が現場で効果を実感してきたプラセンタ療法ですが、現在のところ、単一の有効成分はわかっていません。もともとは紫河車(しかしゃ)という動物性生薬が注射薬になっていることを考えると、多成分が複合して効果を発現しているのではないか?と考えられています。
プラセンタには早くから
- 抗酸化作用
- 抗炎症作用
- 抗老化作用 があることがわかっていましたが、さらにこれらに加え
- 遺伝子修復作用(放射線障害の回復)
もあることが明らかにされました。
プラセンタの安全性
プラセンタ注射薬は化学合成した薬ではなく、ヒトの胎盤のみを原料としてつくられます。
そのためウイルスや細菌が絶対混入しないように、胎盤を提供してくれるお母さんの健康状態を入念にチェックするとともに、集められた胎盤は専門機関で厳しい検査を受けます。その上で製薬工程においても加水分解を行なった後、121℃という高温で60分間滅菌し、危険性を徹底的に排除しています。
プラセンタの副作用
薬といえば副作用が問題視されますが、プラセンタでは注射部位に時として疼通・発火・発疹などが見られることがあります。
その時は医師にお申し出ください。
プラセンタ注射をする用量と回数は?
治療目的や重症度により変わりますが、注射の場合は次の用法・容量が基本になります。
用法・用量の基本
険診療の場合 |
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自由診療の場合 |
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効果を高める注射の打ち方
最初の3ヵ月は治療間隔を短くした方が、効果を実感しやすい。
週2回通院可能 | 1回 2〜3A |
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週1回通院可能 | 1回 3〜4A |
10日〜14日に1回通院可能 | 1回 4〜6A |
3週間に1回通院可能 | 1回 6〜8A |
1ヵ月に1回通院可能 | 1回 8〜10A |
この治療頻度を、効果が見られるまで継続する。
その後に治療頻度を減らすことも可能
治療目的による注射・通院の目安
疾患名 | 通院頻度 | 期間の目安 |
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更年期障害・乳汁分泌不全 | 週1〜2回(重症度に応じる) | 3〜6ヵ月 |
月経困難・月経不順 | 週1〜2回 | 3〜6ヵ月 |
花粉症 | 週1回 | 3ヵ月 |
アトピー性皮膚炎 | 週1〜2回(重症度に応じる) | 3〜12ヵ月 |
気管支喘息 | 週1〜2回(重症度に応じる) | 3〜12ヵ月 |
慢性肝炎 | 週1〜3回(重症度に応じる) | 6〜12ヵ月 |
関節リウマチ | 週1〜3回(重症度に応じる) | 6〜12ヵ月 |
抗疲労効果 | 適宜 | 6〜12ヵ月 |